刑事・逮捕後の手続
逮捕後に勾留されるか不安なときに確認したいこと|期限・面会・資料
家族が逮捕された後、起訴前と起訴後の手続を分け、釈放や保釈を検討する段階や判断要素、住居・勤務・家族支援・健康状態の資料を整理する記事です。
逮捕後の釈放を考えるときは、まず起訴前か起訴後かを確認しましょう。起訴前の釈放に関する検討と、起訴後の保釈は別の制度で、どちらも家族の希望や資料だけで結果が決まるものではありません。現在の段階に応じて、住居、勤務、家族支援、健康状態を何のために示すのかを弁護士と整理しましょう。
著者: 近藤 良 ・ 広島弁護士会 ・ 登録番号68207
更新日:
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まず確認したいこと
勾留は、裁判官・裁判所の判断による身体拘束で、起訴前の被疑者勾留と起訴後の被告人勾留があります(起訴前の被疑者勾留については刑事訴訟法第207条第1項・第60条第1項、起訴後の被告人勾留については同法第60条第1項)。保釈は、起訴後に勾留されている被告人についての制度です(同法第88条第1項。起訴前に保釈を認めないことについては同法第207条第1項ただし書)。釈放の可否や時期は、手続の段階、事件・証拠の状況、逃亡や証拠隠滅のおそれ、身体拘束による不利益などを踏まえて個別に検討されます。家族が準備する資料は、その検討に必要な事実を具体的に説明するための材料です。
要点
- 起訴前か起訴後かを確認し、起訴前の釈放と起訴後の保釈を区別する
- 釈放の判断要素を一般論で決めつけず、事件・証拠、逃亡・証拠隠滅のおそれ、拘束の不利益などを段階ごとに確認する
- 住居・勤務・家族支援・健康状態の資料は、釈放後の具体的な生活や支援を説明する目的で揃える
- 家族の面会・差入れと、弁護士による接見・法的相談は役割が違うため、別々に確認する
まず現在の手続の段階を確認する
実際に逮捕された日時と、家族が逮捕を知った日時を分けて記録しましょう。実際の逮捕日時が分からない場合は、不明と記載し、どのように確認するかを弁護士に相談しましょう。警察署について分かっている情報を控え、本人からの連絡、警察などから聞いた内容、届いた書類も時系列に整理しましょう。家族が後から聞いた話と、捜査機関・裁判所から直接示された情報を分け、起訴前か起訴後かを確認できる資料があるかを弁護士に伝えましょう。分からない段階を推測で決めないことが、使える手続と準備資料を取り違えないために重要です。勾留が決まっている場合は、届いた書類や捜査機関・裁判所から聞いた内容を弁護士に伝え、現在の勾留期間の満了日と、延長・更新がされているかを確認しましょう(勾留期間とその延長・更新について、起訴前は刑事訴訟法第208条第1項・第2項、起訴後は同法第60条第2項)。
裁判所の刑事事件Q&Aや法令の説明は、制度の大枠を確認するために利用できます。実際の事件でどの手続が選べるか、いつ判断されるか、何を提出するかは、事件の内容とその時点の資料を踏まえて個別に確認しましょう。
起訴前の釈放と起訴後の保釈を分ける
起訴前は、勾留請求前後、勾留の判断やその後の捜査の段階に応じて、身体拘束を続ける必要性や釈放に向けた対応を弁護士と検討しましょう。起訴前に保釈を申し立てるという意味ではありません(刑事訴訟法第207条第1項ただし書)。起訴後は、被告人勾留と保釈の制度を前提に、保釈の要件・除外事由などを弁護士に確認しましょう(同法第88条から第90条まで)。
逮捕されたこと、勾留されたこと、起訴されたこと、不起訴になること、保釈されることは、それぞれ別の事実です。家族が「早く帰してほしい」と希望していても、制度上の段階と事件の状況に合う選択肢を弁護士と検討しましょう。釈放の可否や時期は、手続の段階と事案によって異なります。
生活や健康の資料は、何を説明するためのものかを明確にする
住居の資料は、釈放後にどこで生活するのかを具体的に説明するために使います。勤務の資料では、どのように仕事を続けるのか、休むのかを、家族支援の資料では、誰が何を支援できるのかを具体的に説明します。住所や勤務先を並べるだけでは足りず、実際に誰が支援するのか、どのように連絡を取るのか、生活上どのような課題があるのかといった裏付けを、弁護士が主張や手続を検討できる形で整理しましょう。
健康状態の資料は、治療や服薬の継続が必要か、どこに通院しているのか、誰が支援するのか、身体拘束によってどのような不利益が生じるのかを具体的に伝えるためのものです。診断書、通院記録、服薬情報などがある場合も、それだけで釈放が決まるわけではありません。何を説明する資料なのかを明らかにし、足りない資料の取得方法を相談しましょう。
面会・差入れと弁護士接見を混同しない
家族の面会や差入れは、本人との連絡や生活用品の提供を通じて、本人の生活を支えるものです。面会や差入れができるか、どのように行うか、何を差し入れられるかは、施設や事件の状況で変わります。警察署などに確認した内容や断られた内容は記録し、面会できたことだけで手続の見通しを判断しないでください。
弁護士接見は、弁護士が本人から事情や意向を聴き、法的な相談や弁護活動につなげるためのものです(身体の拘束を受けている被疑者・被告人と弁護人等との接見について、刑事訴訟法第39条第1項)。家族が面会できない、差入れができないという事実と、弁護士が接見できるか・何を確認できるかは分けて確認しましょう。弁護士接見の時刻や結果が一律に保証されるものではありません。
判断要素は事案ごとに確認する
釈放や勾留、保釈の判断では、手続の段階だけでなく、事件・証拠の状況、逃亡や証拠隠滅のおそれ、身体拘束が本人や家族の生活・健康に与える不利益などが問題になります。どの要素がどの手続で重く見られるかは、事件の内容や証拠、本人の状況によって変わります。
家族が用意する住居・勤務・支援・健康の資料は、結論を自動的に導くチェック項目ではありません。弁護士が事案に即して、何を説明し、どの手続で、どの資料を使うかを判断するための基礎資料として準備しましょう。
資料
- 逮捕から現在までの時系列、起訴前・起訴後を確認するための書類や情報源
- 釈放後の住居、勤務の継続・休業、家族や支援者の役割を裏付ける資料
- 症状、通院先、治療・服薬、診断書など健康状態と拘束による不利益を説明する資料
- 面会・差入れについて施設から受けた案内や確認記録、弁護士に伝えたい接見上の要望
- 事件・証拠の状況や、家族がすでに行った連絡・対応を確認できる記録
相談前の確認
- 逮捕から現在までの時系列と、起訴前か起訴後かを示す書類・情報源
- 住居、勤務、家族・支援者について、釈放後の生活や支援の何を説明できる資料か
- 症状、通院先、治療・服薬、診断書など、健康上の不利益を説明できる資料
- 面会・差入れの確認結果と、弁護士接見で確認・相談したいことを分けたメモ
よくある質問
起訴前でも保釈を申し立てれば釈放されますか?
起訴前に保釈を請求することはできません(刑事訴訟法第207条第1項ただし書)。起訴前の釈放については、その段階で利用できる手続を弁護士と検討しましょう。起訴前か起訴後かを確認したうえで、その段階で利用できる手続、事件・証拠の状況、逃亡や証拠隠滅のおそれなどを弁護士に確認してください。釈放の可否や時期を一律に予測することはできません。
住居や勤務先の資料があれば釈放されますか?
資料があるだけで釈放が決まるわけではありません。住居、勤務、家族支援、健康状態の資料は、釈放後の生活や支援、身体拘束による不利益を具体的に説明するための材料です。事件・証拠の状況など他の事情と合わせ、どの手続で何を示すかを個別に検討しましょう。
出典
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