交通事故・示談案
交通事故の示談案が届いたときに確認したいこと|金額・項目・期限
交通事故で保険会社や相手方から示談案が届いたとき、金額、損害項目、資料、回答期限、署名前に確認したい点を整理する記事です。
交通事故の示談案が届いたときは、提示額だけを見て判断せず、どの損害が含まれているか、何が対象外とされているかを確認しましょう。回答期限や資料も確認することが重要です。過失割合が提示されている場合も、前提となる事故状況と根拠資料を確認し、自分と相手方の説明の違いを整理します。署名や同意の前に、分からない点を一覧にまとめましょう。
著者: 近藤 良 ・ 広島弁護士会 ・ 登録番号68207
更新日:
この法律記事は一般的な情報を整理したもので、個別の法律判断や結果を示すものではありません。
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まず確認したいこと
示談案とは、交通事故について、相手方や保険会社から損害賠償額や解決条件として提示される内容を指します。実際に同意するかどうかを検討する際は、どのような事故だったか、治療や後遺障害、休業についてどのような事情があるかを確認しましょう。資料や保険の内容も確認することが重要です。
要点
- 提示額だけでなく、含まれる損害項目と含まれない項目を確認する
- 治療費、休業損害、慰謝料、交通費、後遺障害の扱いを分けて見る
- 回答期限、署名欄、清算条項など、後の対応に影響する記載を確認し、その書面を保存する
- 保険会社からの説明を医療資料や収入資料と照らし合わせて整理する
- 保険会社が提示した過失割合の前提となる事故状況と根拠資料を確認する
- 信号・標識・進行方向・道路幅など、自分と相手方の説明の違いを映像や現場資料と照合する
金額の内訳を分けて確認する
示談案を受け取ったら、総額だけでなく、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料、物損、後遺障害に関する項目がどう書かれているかを確認します。計算書や支払明細を保存し、対象外とされた項目も記録しておきましょう。
国土交通省の自賠責保険・共済の資料では、傷害、後遺障害、死亡などの損害ごとに補償内容や限度額が案内されています。実際の示談案が妥当かは、資料と事情を見て個別に確認します。
提示された過失割合は、どのような事故状況や資料に基づいていますか?
保険会社から過失割合が提示されている場合は、割合だけでなく、前提にした事故状況と根拠資料を確認します。自分の説明と相手方の説明について、信号、標識、進行方向、道路幅などの違いを具体的に整理し、現場情報、ドライブレコーダー、防犯映像、刑事記録などと対応させます。
手元の映像は、失われたり上書きされたりする前に保存しましょう。相手方・第三者の映像など未入手の資料は、任意開示が得られないこともあるため、資料がどこにあるか、入手できるかについて、早めに弁護士へ相談しましょう。資料がそろっていなくても、相談を遅らせないことが重要です。過失割合の具体的な判断は、事故状況や根拠資料など、個々の事情によって異なります。
署名や回答の期限を確認する
示談案への承諾や書面への署名前に、どの損害を解決するのか、これ以上の請求をしない旨の清算条項があるか、未解決として残す事項があるかを確認します。提示された回答期限と、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は別に確認してください(民法第724条・第724条の2)。保険請求の消滅時効も、保険給付請求権(保険法第95条第1項)か、自賠責保険の被害者請求権(自動車損害賠償保障法第19条)かなど、請求する権利の種類に応じて確認する必要があります。急いで返答を求められた場合も、書面を残し、期限や合意の範囲が分からないまま承諾せず、早めに弁護士へ相談してください。
医療資料と収入資料をそろえる
けがや治療に関する資料、仕事を休んだ記録、収入が分かる資料、保険会社とのやり取りをそろえましょう。後遺障害が問題になる場合は、診断書、検査結果、症状の経過も整理しておきましょう。
すでに一部の入金があった場合や返答をした場合も、入金日や金額、返答した内容を確認しましょう。書面に署名した場合は、その書面を見て、何が書かれているかを確認しましょう。
資料
- 示談案、支払計算書、同意書、承諾書、回答期限が分かる書面
- 保険会社が提示した過失割合、前提とされた事故状況、根拠資料が分かる書面や説明
- 自分と相手方の説明の違い(信号・標識・進行方向・道路幅など)を整理したメモ、現場情報、ドライブレコーダー、防犯映像、刑事記録(未入手のものは所在・入手可否のメモ)
- 診断書、診療明細、領収書、通院交通費、治療経過の記録
- 休業日、給与明細、源泉徴収票、勤務先との連絡記録
- 保険会社や相手方との電話、メール、SMS、郵便物
相談前の確認
- 示談案を受け取った日、回答期限、署名や返答の有無
- 提示額の内訳と、納得できない項目・分からない項目
- 保険会社がどのような過失割合を提示し、どの事故状況・資料を根拠としているか。未入手の資料はどこにあり、入手できるか
- 自分と相手方の説明にどのような違いがあるか(信号・標識・進行方向・道路幅など)、映像・現場情報とどこまで照合できているか
- 手元の映像の保存状況はどうか、未入手資料について弁護士に何を相談したいか
- 治療状況、症状、後遺障害に関する案内の有無
- 休業、収入減、通院交通費、立替費用に関する資料の有無
よくある質問
示談案に署名した後でも相談できますか?
相談できます。署名した書面、署名日、入金の有無、保険会社からの説明、事故と治療の資料を整理してください。署名後の扱いを検討するため、書面の内容と具体的な経過を確認します。
提示額が妥当かを検討するには、何を確認しますか?
提示額だけではなく、対象となっている損害項目、治療経過、収入資料、後遺障害の有無、回答期限を確認します。金額の評価は、資料全体を見て検討します。
保険会社が提示した過失割合は、そのまま受け入れるべきですか?
提示割合だけで正しいとはいえず、異議を述べれば必ず変わるともいえません。保険会社が前提にした事故状況と根拠資料を確認し、自分と相手方の説明の違い(信号・標識・進行方向・道路幅など)を整理して、ドライブレコーダー、防犯映像、現場情報等と照合します。未入手の映像等は、所在と入手可否を弁護士へ相談してください。具体的な判断は事案によって異なります。
出典
- 国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」
- 国土交通省「支払までの流れと請求方法」
- 国土交通省「よくあるご質問」
- e-Gov法令検索『民法』(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
- e-Gov法令検索『保険法』(保険給付請求権の消滅時効)
- e-Gov法令検索『自動車損害賠償保障法』(被害者請求権の消滅時効)
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