相続・遺産分割
遺産分割を始める前に確認すること|相続人・財産・遺言・期限
遺産分割の話合いを始める方へ、相続人・遺産・遺言の確認、話合いの経過の記録、期限の確認について説明します。
遺産分割は、誰が相続人か、どのような遺産と債務があるか、遺言があるか、これまでにどのような話合いをしたかを確認してから進めましょう。家族の記憶だけで判断せず、戸籍や通帳などの資料を残しておきましょう。
著者: 近藤 良 ・ 広島弁護士会 ・ 登録番号68207
更新日:
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資料や経過を整理しておくと、相談時に状況を確認しやすくなります。
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まず確認したいこと
遺産分割とは、亡くなった方の財産について、相続人の間で誰が何を取得するかを決める手続や話合いを指します(共同相続人の協議による遺産分割について、民法第907条第1項)。相続人や財産の内容により、確認すべき点が異なります。
要点
- 相続人の範囲と、亡くなった日、自分が死亡を知った日、自分が相続人であると知った日を確認する
- 預貯金、不動産、株式、保険、借入などを一覧にする
- 遺言書があるか、どこに保管され、何が書かれているかを確認する
- 相続人間の連絡、提案、合意書を保存し、期限を記録する
相続人や期限を確認するために、どの日付を記録する?
亡くなった日、自分が被相続人の死亡を知った日、自分が相続人であると知った日、ほかの相続人が分かった経過を記録しましょう。相続放棄を考える場合、その申述期間は原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法第915条第1項本文)。この3か月は、遺産分割協議の期限を示すものではありません。例外もあり、期間伸長の手続もあります(期間の伸長について、同項ただし書)。早めに具体的な状況を確認してください。
遺産と債務を一覧にする
不動産、預貯金、株式、車、保険、貸付金などの財産だけでなく、借入、未払金、保証、税金などの債務も分かる範囲で一覧にしましょう。残高証明、通帳、登記事項証明書、請求書などは、捨てずに保存しておきましょう。
家族間の話合いでは何を記録しておく?
誰が何を提案したか、何に合意し、何が未合意か、いつ話し合ったか、専門家や公的機関へ何を確認したかを分けて記録しましょう。感情的なやり取りがある場合も、原文を保存し、経過が分かるようにしておきましょう。
話合い中でも、登記と相続税は別に確認するべき?
はい。遺産分割の話合いが続いていても、相続登記の期限(相続による所有権移転登記の申請期限について、不動産登記法第76条の2第1項)や必要な手続、相続税の申告が必要かどうかは、話合いの終了を待たずに確認しましょう。
次のように、手続ごとに資料、まだ確認できていない点、次に確認する日を分けてメモしましょう。
- 遺産分割:資料は戸籍、遺言書、財産・債務の資料、相続人間の連絡記録。未確認点は、誰が相続人か、財産と債務に漏れがないか、何に合意し、何が未合意か。次の確認日は次回の話合いの日とし、争いがあるときは弁護士へ相談する
- 相続登記:資料は登記事項証明書、固定資産税の通知、戸籍、遺言書、遺産分割協議書案。未確認点は、不動産が誰の名義か、いつ相続したことを知ったか、話合いがどこまで進んでいるか。司法書士または法務局へ登記の期限と必要な対応を早めに確認し、次に確認する日を決める。細かな期限や手順は相続登記の関連記事で確認する
- 相続税:申告の要否を確認するため、財産の内容・評価、通帳や残高証明、債務、保険などの資料を整理する。不足している資料と申告期限を税理士または税務署へ早めに確認し、次に相談する日を決める。申告が必要な場合は、遺産分割が終わっていなくても期限は延びないため、期限内の申告・納税について相談する(申告期限について相続税法第27条第1項、納付期限について同法第33条、未分割遺産の課税について同法第55条)
資料
- 戸籍、遺言書、遺言書保管に関する資料
- 不動産、預貯金、株式、保険、車などの資料
- 借入、保証、未払金、税金など債務の資料
- 相続人間のメール、メッセージ、合意書、提案書
相談前の確認
- 亡くなった日と、相続を知った経緯・日付
- 相続人として把握している人と、連絡が取れているか
- 財産と債務の一覧、まだ調査できていないもの
- 遺言書や家族間の合意、期限が分かる書類
よくある質問
相続人の一人と連絡が取れなくても相談できますか?
相談できます。相続人の氏名・住所など、分かっている情報を整理してください。あわせて、いつ連絡を試みたか、返事があったか、どのような遺産があるかを整理しましょう。連絡が取れない場合の手続は、相続人や財産の状況を確認して判断します。
遺産の全体が分からないまま話合いを始めてもよいですか?
遺産や債務の調査状況を確認しながら進める必要があります。財産を動かしたことや、請求書が届いたことがあれば、相談の際に、その日時と資料を弁護士に伝えてください。
出典
- 裁判所「相続・遺産分割」
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
- 国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」
- 法務省「相続人申告登記について」
- e-Gov法令検索「民法(第907条、第915条)」
- e-Gov法令検索「不動産登記法(第76条の2)」
- e-Gov法令検索「相続税法(第27条、第33条、第55条)」
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